海外赴任者にトラブルが起きたとき、人事はどこまで対応できますか?
海外赴任者にトラブルが起きたとき、人事はどこまで対応できるでしょうか。
現地での仕事上の問題、上司や同僚との人間関係、心身の不調、帯同家族の悩み。海外赴任中に起こる問題はさまざまで、複数の問題が重なっていることもあります。
人事担当者としては、本人の状況を把握し、必要な支援につなげたいと考えるでしょう。しかし、現地の状況を直接確認することは難しく、本人が詳しい事情を話してくれるとも限りません。
また、仕事上の問題には対応できても、心理的な悩みや家族関係の問題など、社内の制度や人事の対応だけでは十分に支えきれない領域もあります。
重要なのは、すべての問題を人事だけで解決しようとすることではありません。
人事が担う役割と、社内外の専門家や相談先につなぐ役割を明確にしておくことです。
この記事では、海外赴任者にトラブルが起きた際に人事が直面する課題と、企業として準備しておきたい支援体制について解説します。
海外赴任者のトラブルは、なぜ人事だけでは対応しにくいのか
現地で何が起きているのか把握しにくい
海外赴任者は、日本本社から離れた場所で仕事や生活をしています。
人事が定期面談を実施していても、日々の職場環境や現地での人間関係、生活上の困難まで把握することは容易ではありません。
本人が「問題ありません」と答えていても、実際には強いプレッシャーを感じていたり、職場で孤立していたりする可能性があります。
さらに、現地法人の上司から報告される情報と、本人が感じている問題が一致するとは限りません。人事が一方の情報だけで判断すると、本人の困りごとを十分に理解できないこともあります。
人事が把握している情報だけでは、本人が実際にどのような負担を抱えているのか、見えにくい場合があるのです。
本人が人事に相談できるとは限らない
海外赴任者は、会社から期待されている役割を果たそうとするあまり、自分の悩みを後回しにすることがあります。
「自分の問題で会社に迷惑をかけたくない」「海外赴任に適応できていないと思われたくない」「今後の評価に影響するのではないか」といった不安から、問題を抱えていても相談を控えるケースが考えられます。
本人が相談してきた時点では、すでに負担が大きくなっている可能性もあります。
相談窓口を設けるだけでなく、本人が安心して話せる環境や、人事以外にも相談できる選択肢を整えておくことが大切です。
仕事、心身の状態、家族の問題が重なりやすい
海外赴任中のトラブルは、一つの領域だけで完結するとは限りません。
例えば、現地での業務上の問題が続き、睡眠や気分に影響する。その結果、家庭で余裕がなくなり、配偶者との関係にも変化が生じる。このように、仕事、心身の状態、家族関係が相互に影響することがあります。
人事が業務上の問題に対応しても、本人や家族が抱えている負担が残る場合があります。
目の前のトラブルだけでなく、仕事や生活にどのような影響が生じているかを理解し、必要に応じて適切な支援につなげる視点が必要です。
人事が対応できること、専門的な支援につなぐこと
海外赴任者に問題が起きた際、人事が中心となって対応する領域と、専門的な支援につなぐことが望ましい領域を整理しておくと、初動で迷いにくくなります。
人事が中心となって対応する領域
人事は、会社として必要な対応を整理し、関係者との調整を進める役割を担います。
具体的には、本人から状況を聞き取ること、就業上の問題や制度上の対応を確認すること、現地法人や関係部署との連携、必要な社内手続きの調整などが挙げられます。
ただし、本人の同意や情報管理上のルールに配慮し、情報を共有する相手や範囲を慎重に判断する必要があります。緊急性が高い場合は、社内規程や緊急時の対応手順に沿って行動することが重要です。
人事がすべての問題を直接解決するのではなく、会社として必要な対応を進め、本人が適切な支援を受けられるようにすることも大切な役割です。
人事だけで抱え込まないほうがよい領域
心理的な負担が強い場合や、心身の状態について専門的な判断が必要な場合には、産業保健スタッフや医療機関など、状況に応じた専門家につなぐことが考えられます。
また、家族関係の悩みや孤独感、現地生活への適応など、業務上の制度対応だけでは解決しにくい問題もあります。
人事担当者が本人の話を聞くことは重要ですが、すべての悩みを解決する専門家になる必要はありません。人事の役割は、本人の状況を理解し、必要な支援につなげることにもあります。
なお、緊急性の高い健康問題や安全上の問題がある場合には、通常の相談窓口だけで対応しようとせず、現地の緊急サービスや医療機関など、状況に応じた対応を優先する必要があります。
トラブルが起きる前に、企業が準備しておきたい支援体制
初動対応の流れを整理しておく
問題が発生してから対応方法を考えると、担当者によって判断が異なったり、必要な連携に時間がかかったりする可能性があります。
相談を受けた際に、誰が状況を確認し、どの部署や専門家につなぎ、どのような場合に緊急対応へ切り替えるのか。あらかじめ基本的な流れを整理しておくことが重要です。
すべてのケースを細かく想定する必要はありません。通常の相談、専門的な支援が必要なケース、緊急性が高いケースを区別し、担当者が次の行動を判断できるようにしておくことから始められます。
人事以外にも相談できる選択肢を用意する
本人が人事に話しにくい問題を抱えている場合、社外の相談先があることで、悩みを言葉にするきっかけが生まれることがあります。
特に、上司との関係や職場での立場、家族に関する悩みなどは、社内の関係者には話しづらい場合があります。
社外の相談窓口を設ける際には、対象者、相談できる内容、対応可能な時間や言語、守秘義務と情報共有の方針、緊急時の対応範囲などを確認しておくことが大切です。
外部相談先を用意するだけで問題が解決するわけではありません。しかし、社内では話しにくい悩みを受け止め、必要に応じて適切な支援につなげる仕組みの一つになります。
帯同家族の悩みも視野に入れる
海外赴任者本人への支援を考える際、帯同家族の状況にも目を向ける必要があります。
配偶者が孤独を感じている、現地生活になじめない、帰国後のキャリアに不安を抱えているなど、家族が直面する問題は多様です。
家族の負担が本人の生活や仕事に影響することもあるため、企業としてどこまで支援するかを検討しておく意義があります。
家族の問題をすべて会社が解決する必要はありません。相談できる先を示し、必要に応じて適切な支援につなげられるようにしておくことが現実的な対応です。
海外赴任者支援を、人事だけで抱え込まないために
海外赴任者にトラブルが起きたとき、人事には会社としての対応や関係者との調整が求められます。しかし、現地で起きている問題をすべて把握し、仕事、心身の状態、家族関係まで一人で支えることには限界があります。
だからこそ、トラブルが起きてから対応方法を探すのではなく、平時から役割分担や連携先を整理しておくことが重要です。
人事が担うこと、社内の専門職と連携すること、外部の相談先につなぐこと。それぞれの役割を明確にすることで、担当者の負担を軽減しながら、海外赴任者が必要な支援を受けられる体制を目指せます。
まずは、自社の海外赴任者支援について、次の点を確認してみてはいかがでしょうか。
- トラブルが発生した際、誰が初動対応を担うか明確になっているか。
- 人事だけでは対応が難しい場合の連携先が決まっているか。
- 本人が人事に話しにくい悩みを相談できる選択肢があるか。
- 帯同家族の悩みについても、必要に応じて支援につなげられるか。
こうした点を確認することが、海外赴任者本人と家族を支える仕組みづくりの第一歩になります。
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一般社団法人 Vida felizでは、海外赴任者と帯同家族が抱える悩みや不安を相談できる場を提供し、企業の海外赴任者支援を サポートしています。
人事だけでは把握しにくい本人や家族の悩みに、社外の相談先という立場から向き合うことも、支援体制を考えるうえでの選択肢です。
「トラブルが起きたときの対応範囲を整理したい」「人事だけでは対応しきれない悩みを受け止める仕組みを検討したい」「海外赴任者や帯同家族への支援を見直したい」といった段階でも構いません。
現在の制度や運用について課題を感じている企業人事の方は、まずは状況をお聞かせください。自社に合った海外赴任者支援のあり方を、一緒に考えていきます。 海外赴任者支援の仕組みについて相談したい企業人事の方は、以下よりお問い合わせください。

