帯同家族が「日本に帰りたい」と思うのは甘えではありません

海外赴任に伴い、家族で海外生活を始めたものの、「日本に帰りたい」と思うことはありませんか。

慣れない土地での生活、言葉の壁、友人ができない寂しさ。買い物や病院の受診など、日常のことにも気を遣い、日本では当たり前にできていたことが思うようにできない。そんな日々が続くと、「もう日本に帰りたい」「どうして自分だけがこんなに大変なのだろう」と感じることもあるでしょう。

一方で、赴任先で仕事を頑張っている配偶者の姿を見ると、自分のつらさを口に出せないこともあるかもしれません。

「自分で海外に来ることを選んだのだから、頑張らなければ」
「家族のために働いてくれているのに、帰りたいなんて言えない」
「ほかの人は海外生活を楽しんでいるのに、自分は適応できていないのではないか」

そんな思いから、自分の気持ちを抑えていませんか。

しかし、日本に帰りたいと思うことは、決して甘えではありません。

海外生活への適応には個人差があります。赴任者本人と帯同家族では、置かれている環境も、日々感じる負担も異なります。海外生活がつらいと感じるのには、その人なりの理由があります。

この記事では、帯同家族が「日本に帰りたい」と感じる背景を整理し、つらくなったときに考えたいことや、一人で抱え込まないための方法を紹介します。

なぜ帯同家族は「日本に帰りたい」と感じるのか

慣れない生活の中で、気を休める場所がなくなる

海外では、言葉や文化、生活習慣の違いに戸惑うことがあります。

買い物をする、公共交通機関を利用する、子どもの学校について相談する、病院を受診する。日本では何気なくできていたことにも、時間や労力が必要になる場合があります。

困ったことが起きても、気軽に相談できる人が近くにいなければ、自分で調べ、判断し、解決しなければなりません。

一つひとつは小さな負担に思えても、それが毎日積み重なると、知らないうちに心身が疲れてしまいます。

海外生活を楽しめない自分が悪いのではなく、安心して過ごせる環境や、困ったときに頼れるつながりが、まだ十分に整っていないのかもしれません。

人とのつながりが減り、孤独を感じる

日本では、家族や友人、職場の知り合いなど、自然に人と関わる機会があった方も多いでしょう。

ところが、海外に来ると、これまでの人間関係から離れ、新たにつながりを築く必要があります。現地の言葉に自信がなかったり、生活習慣の違いに戸惑ったりすると、人と交流すること自体が負担になる場合もあります。

配偶者は職場で同僚と話す機会がある一方、自分は一日中、家族以外の人とほとんど会話をしない。そんな生活が続くこともあるでしょう。

周囲からは海外生活を楽しんでいるように見えても、本人は孤独を感じていることがあります。

気持ちを分かち合える相手がいない、自分のことを理解してくれる人がいないと感じれば、日本に帰りたいと思うのも無理はありません。

配偶者に気持ちを理解してもらえない

帯同家族のつらさは、配偶者にも十分に理解してもらえないことがあります。

赴任者本人は、仕事上の責任や成果へのプレッシャーを抱えています。異国の職場で頑張り、家族を支えようとしているからこそ、家庭では心配をかけたくないと思うこともあるでしょう。

そのため、帯同家族が「日本に帰りたい」と伝えても、「もう少し頑張ってみたら」「せっかく海外に来たのだから」と返されてしまうことがあります。

励ますつもりの言葉であっても、つらさを受け止めてもらえなかったと感じるかもしれません。

一方で、配偶者に負担をかけたくない、仕事の邪魔をしたくないと考え、自分の気持ちを伝えられない方もいます。

こうして、お互いに相手を思いやっているにもかかわらず、気持ちがすれ違ってしまうことがあります。

「帰りたい」と思う自分を責めなくてよい

海外生活に適応するペースは人それぞれ

海外生活を始めてすぐに現地の生活に慣れる人もいれば、時間がかかる人もいます。

同じ国に住んでいても、言葉の習得状況、生活環境、仕事の有無、子育ての負担、周囲に頼れる人がいるかどうかによって、感じるストレスは異なります。

ほかの帯同家族と自分を比べて、「あの人は楽しそうなのに、なぜ自分は楽しめないのだろう」と考える必要はありません。

海外生活を楽しめることだけが、海外赴任への適応ではありません。慣れない環境で日々の生活を続けること自体に、大きなエネルギーが必要な場合もあります。

自分のペースで生活に慣れていくことも、今の環境を見直すことも、どちらも大切な選択肢です。

配偶者を支えることと、自分を大切にすることは両立できる

家族のために海外赴任を支えたい。配偶者には仕事に集中してほしい。そうした思いから、自分の気持ちを後回しにしている方もいるでしょう。

しかし、家族を支えることと、自分のつらさを我慢し続けることは同じではありません。

自分が何に困り、何を必要としているのかを考えることも、海外生活を続けていくうえで大切です。

例えば、必要としていることは、人によって異なります。

  • 一人でゆっくり過ごす時間がほしい
  • 気軽に話せる友人や知り合いがほしい
  • 家事や子育ての負担を分担したい
  • 自分の気持ちを否定せずに聞いてほしい
  • これからの生活について、落ち着いて考える時間がほしい

すぐに解決策を見つけようとしなくても構いません。まずは、自分が何につらさを感じているのか、何があれば少し楽になれそうなのかを考えることから始めてみましょう。

日本に帰りたい気持ちが強くなったときに考えたいこと

何が一番つらいのかを整理する

「日本に帰りたい」という気持ちの背景には、さまざまな事情があるかもしれません。

  • 慣れない生活や言葉の壁に疲れている
  • 孤独を感じ、話せる相手がいない
  • 配偶者との関係やコミュニケーションに悩んでいる
  • 子育てや家事の負担が大きい
  • 自分の時間や役割を持てず、社会から取り残されたように感じる
  • 赴任先の生活環境そのものが合わない

いくつかの要因が重なっていることもあります。

すぐに解決策を見つけようとせず、「どんなときに帰りたいと思うのか」「何が一番負担になっているのか」を振り返ってみてください。

例えば、朝起きたときに気持ちが沈むのか、家族以外と話す機会がないことがつらいのか、配偶者との会話ですれ違いを感じるのか。具体的な場面を振り返ることで、自分の気持ちを理解する手がかりが見つかることがあります。

配偶者には、まず自分の気持ちを伝えてみる

配偶者に話をする場合、「日本に帰りたい」という言葉だけでは、相手が驚き、赴任を続けるかどうかの問題として受け止めることもあります。

もちろん、帰国を検討する必要がある場合もあります。ただ、まずは今の気持ちを知ってもらいたい、という段階もあるでしょう。

その場合は、例えば次のように伝える方法があります。

「今の生活が思っていた以上につらくて、帰りたいと思うことが増えている。すぐに結論を出したいというより、まずは私の気持ちを聞いてほしい」

あるいは、「一人で過ごす時間が長くてつらいので、週末に一緒に出かける時間をつくれないかな」と、具体的な希望を伝えることもできます。

大切なのは、一度の話し合いですべてを解決しようとしないことです。お互いの状況を理解するために、少しずつ話し合っていくこともできます。

ただし、配偶者に気持ちを伝えること自体が難しい場合や、話すことで状況が悪化する心配がある場合は、無理に一人で話し合おうとせず、別の相談先を考えてもよいでしょう。

生活を続けるか、帰国するかを一人で決めようとしない

海外生活がつらいとき、「このまま頑張るべきか」「帰国したほうがよいのか」と、答えを急いでしまうことがあります。

しかし、疲れが強いときには、落ち着いて考えること自体が難しくなる場合もあります。

今すぐ結論を出す必要がないのであれば、生活の中で変えられることや、利用できる支援がないかを確認しながら考えてもよいでしょう。

一方で、心身の不調が続いている場合や、睡眠や食事、日常生活に支障が出ている場合には、我慢を続けず、医療機関などの専門家に相談することも大切です。

帰国するかどうかだけが唯一の選択肢ではありません。今の自分に必要な支援を考えることも、これからの生活を検討するための一歩になります。

帯同家族の悩みを、家族の中だけで抱え込まないために

帯同家族は、海外赴任者本人と同じように環境の変化を経験していても、職場の同僚や会社の人事担当者と接する機会が少ない場合があります。

そのため、困りごとがあっても周囲に気づかれにくく、悩みを相談する相手が限られてしまうことがあります。

また、配偶者を心配させたくない、赴任を支えている立場だから弱音を吐いてはいけない、と考えて、気持ちを抑えてしまうこともあるでしょう。

けれども、つらいと感じているときに、誰かに話を聞いてもらうことは、決して特別なことではありません。

身近な人には話しにくい場合、家族や職場から少し距離のある第三者に相談する方法もあります。

一般社団法人 Vida feliz では、海外赴任者本人だけでなく、帯同家族の方からのご相談もお受けしています。

「日本に帰りたいと思ってしまう」
「海外生活がつらいけれど、誰に話せばよいかわからない」
「配偶者には心配をかけたくないので、本音を話しにくい」

こうした気持ちも、相談のきっかけになります。

すぐに答えを出したり、気持ちを前向きに変えたりすることを目指すのではなく、今の状況や気持ちを言葉にしながら、一緒に整理していくことを大切にしています。

日本に帰りたいと思うほどつらいときは、無理に気持ちを押し込めなくても大丈夫です。

まずは、ご自身の気持ちにも目を向けてみませんか。

海外生活や帯同中の悩みについて相談したい方は、Vida felizのウェブサイトをご覧ください。

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https://vidafeliz-support.com/contact/

※相談内容や状況によっては、医療機関など他の専門的な支援先の利用が適切な場合もあります。